【日程】2007年9月1日(土)~2日(日)
【場所】1日目 女神湖周辺と八島ヶ原湿原

 今年で12回目の実施となる、長野県佐久のマミロッジで行われる初秋のフィールドワーク。景介校長先生と倉成先生、全国から集まった22人の先生・生徒を乗せたバスが朝新宿を出発した。一日目は景介先生のフィールドワーク。バスでは先生が今日訪れる長野県諏訪地方の植物や芸術家山下清さんについて、面白いエピソードを交えてお話をしてくださり、みんな期待に胸膨らませ楽しい会話で持ち切りだった。
12時ごろには諏訪の山下清放浪美術館に到着。「放浪の天才画家、裸の大将」で知られる山下清の作品を展示する小さな美術館。山下清は昭和15年、18歳の時に突然学園を飛び出し,昭和31年まで全国各地を一人放浪して歩いた特異な画家。3才の時重病により言語・知的障害をもつが、人並み外れた記憶力・観察力から風景を正確に覚えるという才能をもっていた。ちぎり絵・貼り絵なので立体的で、遠くから見るのと近くで見るのとでは印象が違う。また風景を見ながら描くのではなく、風景を見て記憶したものを絵で再現するという独自の手法のため、遠近感はめちゃくちゃ。どこか空想の世界であるような不思議なかんじを与え、山下清の絵画の味となっている。見る人をハッとさせる独特で鮮烈な色づかい,見たまま、感じたままを素直に描く清の作品を通して私たちは沢山のことを考えさせられた。
 「山下清氏はとっても幸せな人であったのだと思います」と景介先生。「生きているうちに才能を認められ、絵を描くことで生きていける、という自信を得ていたのですから。実物の作品を見たのは今日が初めてだったのですが、非常に感動しました。」
 午後は八島ヶ原湿原散策へ。標高1640m~1797m。長野県のほぼ中央、3000ヘクタールの大草原が広がる霧ヶ峰高原の北西部に位置する八島湿原一帯は亜高山性の植物が豊富で花の宝庫。起伏が少なく、視界を遮るものがないので遊歩道を歩いていても空と緑の光景がずっと続く。フィールドワークでは景介先生による湿原の野草や木に関するレクチャーを聴きながら散策した。ススキ、アザミ、タムラソウ、トリカブト、ヤマラッキョウ、ホタルブクロ、白くてふわふわの花が可憐なサラシナショウマなど秋の草花を発見し、それぞれの植物についての由来、効用などをみんなで話し合った。例えば散策中にヤドリギが目に留まると、
「ヤドリギの実は粘着性があります。鳥が食べ、糞として実が出された後にもその粘着力は失われず、あちこちにその実がくっつき、宿っていくのです。北欧神話ではヤドリギはその生命力の強さから神聖な植物とされていました。その風習が受け継がれて今でもクリスマスのモチーフとして用いられているのです。」
 自然の中できく景介先生のレクチャーは実際に植物が目の前にあるので話もどんどん膨らみ、植物の一つ一つが印象に残る。世界中の国の植物に対する歴史・想いを知ることは奥深く、ただ散策するよりもぐんと面白さが広がった。

 「植物」という切り口で巡った美術・自然に触れる旅。日頃フラワーデザインに携わっている方々のグループだから、みんな自然に対する好奇心、ものづくりが好きという共通点をもっている。ツアーの中に何か心地よい一体感があり、私もその中で旅をすることで新しい発見をしたり、自然に対する興味も一層深まりとても充実した一日を過ごすことができた。自然やものづくりに興味のある人は是非一度参加してみてはどうだろうか。






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