第二十一話
春になってレンギョウの花がフラワーデザインのレッスンに登場するようになるとマミ川崎には思い出すことがあります。
英語でこの花のことをforsythiaというのですが、rの発音が日本人には難しくてアメリカ留学中に難儀したこと。チャックの発音を懸命に真似たことなどなど。またアメリカではこの花の盛りは5月の下旬、つまり卒業式シーズンと重なっていたことも大切な思い出です。花屋での修行、教育学を懸命に学んだこと、チャックとの涙の別れを経て真美子はいっそう強くたくましくなりました。
その彼女にも4年間の就学を経て、いよいよ卒業のときがやってきたのです。卒業式当日、慣れ親しんだミズリーヴァレー大学の庭にはレンギョウの花が咲き誇っていました。波打つように広がる鮮やかな黄色い花が自分を祝福してくれているよう。真美子は感無量で大事な卒業式に向いました。異国の地で何かを成し遂げた証しであるこのイベントは彼女にとっておそらくそれまでの人生最大の式典だったに違いありません。一緒に卒業していく仲間たちがまとった黒いガウンが背景を彩るレンギョウの花の色を一層美しく際立たせていたことが忘れられません。
花はこんなところでも大切な思いで作りに貢献してくれていたのですね。
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